
NC工作機械ってよく聞くけど詳しく知らないかも。NCってどう言う意味だろう?
このような疑問に対して、現役の工作機械商社マンの僕が解説します。
NC工作機械を詳しく知りたい方や、工作機械業界で働き始めて間もない方に向けて参考になれば幸いです。
NC工作機械とは?
NC(Numerical Control:数値制御)工作機械とは、数値情報を用いて自動制御される工作機械のことを言います。手動操作ではなく、プログラムに基づいて機械の動作を制御することで、精密かつ効率的な加工を行うことができます。
NC工作機械の特徴
NC工作機械にはどのような特徴があるか、以下の4点を詳しくみていきましょう。
(1) 自動化
手動で操作する汎用工作機械とは異なり、NC工作機械は事前に作成したプログラムに基づいて動作するため、作業者の危険度に依存せずに高精度な加工が可能です。
(2) 高精度・高再現性
数値制御によって位置決めが行われるため、寸法のばらつきを気にすることができ、同じ形状の部品を安定して生産できます。
(3) 複雑な形状加工
NCプログラムを適切に作成すれば、手間では難しい複雑な形状の加工も容易になります。 特にCNC(Computerized Numerical Control)化された機械では、多軸制御によりより自由度の高い加工が可能です。
(4)生産性の向上
自動運転が可能なため、無人運転や夜間運転も行えます。また、作業者の負担が軽減され、人件費の削減にもつながります。
NC工作機械の仕組み
NC工作機械は、主に以下の要素で構成されます。
(1)NC装置(コントローラー)
工作機械を制御するための装置で、加工プログラムを読み取り、機械の各軸を動かします。
(2) サーボモータ
NC装置からの命令に従い、送り軸や主軸を正確に動作させるためのモータです。
(3) 機械本体
旋盤、フライス盤、マシニングセンタなど、加工を実際に行う機械部分です。
(4) 工具とワーク(加工対象物)
工具(エンドミル、バイトなど)とワーク(加工する材料)を組み合わせて、切削や研削を行います。
NC工作機械の種類
NC工作機械の種類を以下で見ていきましょう。
(1) NC旋盤
円筒形の部品を加工するためのNC制御された旋盤。主軸が回転し、バイト(刃物)が自動で移動しながら加工を行います。
(2) NCフライス盤
回転する工具(エンドミルなど)を使って、平面加工や溝加工を行います。
(3)マシニングセンタ(MC)
NCフライス盤を高度に発展させたもので、自動工具交換装置(ATC)を備え、多様な加工が可能です。
(4) NC研削盤
研削砥石を用いて高精度な仕上げ加工を行う研削盤をNC制御したもの。
(5)NC放電加工機
電気放電を利用して金属を溶融・除去する加工機で、金型製作などに使用されます。
引用:https://www.mitsubishielectric.co.jp/fa/products/mecha/edm/items/die_sinking/index.html
NC工作機械とCNC工作機械の違い
NC工作機械は、パンチカードや紙テープなどでプログラムを入力する方式が主流となっており、現在ではコンピューターを活用したCNC (Computerized Numerical Control)工作機械が主流となっています。CNC工作機械は、プログラムの修正や保存が容易で、多軸制御やシミュレーション機能を備えています。
CNC(Computerized Numerical Control)とNC(Numerical Control)は、どちらも工作機械を数値制御して自動的に加工する技術ですが、制御システムの複雑さに違いがあります。
- CNCはコンピュータベースのシステムで、NCは初期の数値制御システムです。
- CNCはより複雑なプログラミングや調整が容易で、リアルタイムのデータ処理も可能です。
- CNCは、複雑な形状やデザインの製作に適しています。
まとめ
- NC工作機械は、数値制御によって自動化された工作機械。
- 高精度・高再現性を実現し、生産性の向上に貢献します。
- NC旋盤、NCフライス盤、マシニングセンタなどの種類があります。
- 現在ではCNC工作機械が主流で、多軸制御やプログラム管理が容易になっている。
NC工作機械は、現代の製造業において欠かせない技術となっています。
昨今、ユーザーからの設備更新の引き合いは、大半がNC工作機械になりますので、十分理解を深めておきたいですね。
それでは、また!
コメント