
専門商社ってどんなやりがいがあるのかな?
このような疑問に対し、工作機械オペレーター歴7年、現役の工作機械商社の営業マンである僕が、専門商社のやりがいや魅力について考えてみます。
そもそも、「やりがい」の意味を調べると、以下のように出てきました。
やりがい:物事を行う際に感じられる充足感や手応え、価値、達成感など
とはいえ、それぞれの価値観によって違いが出てくるところかと思います。
僕にとって、仕事におけるやりがいは、「人の役に立った時」という価値観です。
ですので、以下のような観点で、考えてみよう思います。
・専門商社の仕事を通じて感じる達成感や手応え。
・専門商社での仕事が役に立っていると価値を感じた時。
専門商社のやりがいとは?
専門商社で働く中で、僕がやりがいを感じたポイントを共有します。同じような感覚であれば、専門商社でやりがいを持って働けるかもしれません。
メーカー・商社・ユーザーでワンチーム
専門商社は、大げさに言えば、メーカーとユーザーをつなぎ、業界の発展をサポートする仕事と考えています。
特に、僕が働いている機械専門商社では、精密加工や生産現場の課題解決を支援し、第一線として現場を支えるやりがいを感じられます。案件の金額も大きく、自分で進めている感覚も手応えを感じます。
一方で、間に入る専門商社としては、メーカーも当然自社製品や業界に対して深い知識がありますし、ユーザーもモノづくりが好きな方(生産技術や開発)が多いので、「どうしたら出来るか?上手くいくか?」という専門的な話の中で、その知識や熱量についていく必要があるので、その分野に興味を持てない人は、やっていくことが難しいとも言えます。
時には、なかなか上手くいかず、ハマる案件や工事もありますが、専門商社としては、メーカーには滞りなく作業に集中できるよう事前情報や環境を準備し、ユーザーには不安要素を取り払うように立ち話や、メーカーが言い辛いような事をワンクッション挟んで伝えます。
工作機械の案件は受注から納入まで半年〜1年を超えるものも多く、こうして苦労を共にしながら仕事を進めてきた関係は、チームのように感じます。
このように、ユーザー・メーカーと一体となって大きな仕事を進めていく事もやりがいを感じる点です。
〇〇さんに全部任せるわ
お客さんからすると、各メーカーや業者とやり取りをするより、1つの商社とやり取りをする方が楽です。自社の事情をよく理解してくれている担当の営業マンであれば話も早いです。
お客さんの面倒ごとを一手に引き受ける事も商社の役割であり、全て任せていただける時はやりがいを感じます。
工作機械の納入の際は、機械メーカーだけではなく、周辺機器も必要になるケースが多いです。
具体的には、工具類(刃物/砥石)、ツーリング関係、バイス等の治具、ソフトウェア(CAD/CAM等)、PC、等。古い設備の廃棄もしくは買取、既存設備のレイアウト変更、作業台、恒温室の設置等。
お客さんの工場内の関係する事すべてを任せていただく時は、調整や打ち合わせが大変ですが、やり切ったときの達成感は大きいです。
また、お客さんからすれば他商社からでも購入可能なのにも関わらず、自分から買ってもらえる時は、商社マン冥利に尽きるところです。
「あの時、話を聞いておいて良かったよ。」
自分が提案した商材がユーザーにマッチし、受注に繋がり、ユーザーの課題を解決出来た時は、なによりやりがいを感じます。
以前、ユーザーに刺さりそうな商材をいくつか提案を持って行った時に、「その商材なら別の担当者のほうが可能性がある」と言われ、別窓口の担当者を紹介してもらったところ、受注に繋がった事がありました。
実際に導入後も効果があったので、買ってよかったと言っていただき、「あの時、話を聞いておいて良かったよ。こういう話をもってきてくれる商社あんまり無いからさ。」と言っていただけた時は、純粋に自分の仕事の価値を認めてもらった気がして、やりがいを感じた瞬間でした。
どんな商材でも販売できる立場の商社だからこそ、自分が提案した商材でユーザーの課題を解決出来た時は、存在価値や手応えを感じる時です。
専門商社はこんな人に向いている
専門商社で働いている僕の目線で、自分が感じる事や周りの社員を見てきた中で、専門商社に向いている人はこんな人かな。という特徴を挙げてみます。
バランス感覚がある人
肉体的な体幹のバランス感覚ではなく、ユーザーとメーカーの間に入る専門商社として、互いの想いを汲みながら、両者の落とし所を見つけられる人です。
専門商社は、メーカーとユーザーの調整や仲介が多くの仕事になるので、両者の話をよく聴き、相手が何を求めているのか、どうしてほしいのかを察知出来る人が向いていると言えます。
メーカーの言い分もユーザーの言い分も、よく聴いた上で、それぞれに上手く伝える必要がある為、どちらの立場にも立って考えるバランス感覚が重要と感じます。
好奇心旺盛な人
専門商社という立場上、いろいろなメーカーやユーザーと関わります。自分が当たり前と思っている知識や業界の動向は、他のユーザーからすれば全く知り得ない新鮮な情報という事が多々あります。
メーカーからの業界の情報や新製品情報、展示会での情報、競合他社の動向や景気は、他のユーザーからすればありがたい情報になります。
興味がある事や業界の最新情報は自分から情報を取りに行き、素直に知らない事はメーカーやユーザーから学ぶ好奇心旺盛な人は向いていると言えます。
結果的に、提案の引き出しも多くなり、有り難がれる存在になります。
泥臭い仕事が出来る人
これが結構重要なポイントと思います。
令和の現代とはいえ、専門商社という職種柄、なんだかんだ、泥臭い営業やウェットな人間関係が売上を左右するケースも多く残っています。
わかりやすい所で言うと、会食や飲み会ですが、ユーザーとだけじゃなくメーカーともウェットな人付き合いが出来る人は向いていると言えます。
ユーザーとだけじゃなくメーカーとも深い関係を構築出来る人は、何かあった時に助けてもらいやすい環境を作れます。
泥臭く足で稼ぐ営業や、社内社外問わず根回しなどが出来る人は専門商社に向いていると感じます。
やはり、結局は人と人の仕事なので、実際に足を運んで面会してフェイスtoフェイスで話す事は重要ですし、業界の特性上、義理人情の世界も色濃く残っています。
間に入る専門商社の仕事は、無駄をトコトン省こうと思えば、そのまま横流し等、極限まで仕事を省こうと思えば出来ますが、それでは存在価値が無いですし、なにより、後にスキルも経験も何も残らないです。ずっとその会社に居るのであればいいですが、このご時世何があるか分かりません。
効率化や無駄を省くことを考えるあまり、商社としての存在価値も省いてしまわないように注意が必要です。
商社は、いかに自社から買ってもらうかなので、他社との相見積や競合が出てきた時に、いつも仲良くしている営業マンを無下に出来ないのは人間の性です。
中小企業だと、まだまだ社長や会長同士がズブズブの関係だったり、発注担当者とズブズブな関係である事が売上を左右しているケースも多いので、このウェットな人間関係を築ける人は強いと感じています。
とはいえ会社としては属人性が高いので、世代交代した時や担当者が変わった時に、どうやって売り上げを維持・向上させていくかが課題になります。中小企業の専門商社は結構あるあるだと思います。
まとめ
専門商社は、特定の業界に深い関わりを通じて、ユーザーとメーカーと一緒になって大きな仕事を進められる仕事です。
また、様々な商材を取り扱う商社だからこそ、ニーズに沿った提案により、ユーザーの課題解決ができた時は大きなやりがいを感じるポイントです。
お客さんと深い関係を構築すれば、「他社でも買えるが〇〇さんから買う」という状況は、自分の存在価値や役立っている実感を得やすい点だと思います。
今回は、僕が働いている工作機械業界の機械専門商社の観点でみていきましたが、専門商社でのキャリアを考えている方は、ぜひ専門商社の「やりがい」に注目してみてください。
それでは、また!
