
汎用工作機械について詳しく知りたいな。NC工作機械と何が違うんだろう。
このような疑問に対して、現役の工作機械商社の営業マンである僕が詳しく解説します!
汎用工作機械とNC工作機械の使い分けや用途について参考になれば幸いです。
汎用工作機械の定義と特徴
汎用工作機械とは、手動で操作するタイプの工作機械のことを言います。NC(数値制御)工作機械とは異なり、作業者が手動でハンドルを回したり、工具を調整しながら加工をするのが特徴です。
定義
汎用工作機械は、特定のプログラムや自動制御を使わずに、作業者が直接操作して加工を行う工作機械のことを指します。旋盤やフライス盤、研削盤などを代表する種類です。
特徴
✅操作が手動:作業者がハンドルやダイヤルを調整して動作させる。
✅柔軟な加工が可能:試作や少量生産に適している。
✅熟練技術が必要:作業者の経験や技術力が加工精度を左右する。
✅コストが比較的低い:NC工作機械と比べて導入コストが安い。(※ただし年々価格差が縮まっている。)
✅メンテナンスが簡単:電子部品が少なく、故障しにくい。
汎用工作機械の種類とその役割
(1) 汎用旋盤(普通旋盤)
▶ 目的:円筒形状の加工
- 主軸に取り付けた回転する材料(ワーク)を刃物(バイト)で削る。
- 外径加工、内径加工、ねじ切りなどが可能です。
- 例:シャフトやボルトの加工。
(2) 汎用フライス盤
▶ 目的:平面加工や溝加工
- エンドやミルカッターを回転させて材料を削る。
- 縦型フライス盤、横型フライス盤があります。
- 例:金型部品、溝加工、歯車の製作。
(3) 汎用ボール盤
▶ 目的:穴あけ加工
- ドリルを回転させて金属や樹脂に穴をあける。
- 卓上型や床置き型がある。
- 例:ボルト穴やピン穴の加工。
(4) 汎用研削盤
▶ 目的:高精度な仕上げ加工
- 砥石を使ってワークの表面を滑らかに仕上げる。
- 円筒研削盤(円筒状のワークを削る)や平面研削盤(平面を仕上げる)がある。
- 例:ベアリングの外径仕上げ、精密部品の研磨。
(5) 汎用放電加工機
▶ 目的:電気エネルギーで金属を除去
- 放電を利用して硬い金属を削る。
- 特に金型の加工に適している。
汎用工作機械のメリットとデメリット
メリット
✅操作が直感的で柔軟:少量生産や試作に最適。
✅コストが低い:NC・CNC工作機械と比べて安い。(※ただし年々価格差が縮まっている)
✅メンテナンスが簡単:シンプルな構造で修理しやすい。
✅技術者のスキルアップにつながる:手作業で加工しながら、ものづくりの基礎を学べる。
デメリット
❌生産性が低い:自動化されていないため、大量生産には不向き。
❌熟練技術が必要:操作に習熟するまで時間がかかる。
❌作業者の技量による精度のばらつき:NC工作機械と比べて精度が安定にしくい。
汎用工作機械とNC工作機械の違い
項目 | 汎用工作機械 | NC工作機械 |
---|---|---|
操作方法 | 手動 | 数値制御(プログラム) |
精度 | 作業者の技術量への依存 | 高精度・安定した品質 |
生産性 | 低い(生産量が少ない) | 高い(大量生産の観点) |
導入コスト | 安い | 高い |
適用範囲 | 試作・単品加工 | 量産・複雑形状加工 |
必要なスキル | 熟練技術が必要 | プログラムの知識が必要 |
✅試作・単品加工なら汎用工作機械!
✅大量生産や複雑加工ならNC工作機械!
まとめ
- 汎用工作機械は手動操作の機械で、柔軟な加工が可能です。
- 旋盤・フライス盤・ボール盤・研削盤・放電加工機など種類が豊富です。
- NC工作機械と比較すると、精度や生産性は劣るが、コストが低く、試作や教育に適している。
- 熟練技術が求められるが、ものづくりの基礎を学ぶには最適な機械。
✅ものづくりの基礎を学ぶなら、まずは汎用工作機械から!
✅将来的にNC工作機械やマシニングセンタへスキルアップ!
汎用工作機械は、今でも製造業や教育機関で重要な役割を果たしており、機械加工の基礎を理解する上で欠かせない存在です。
僕も現在は工作機械商社の営業マンですが、以前は工場でマシンオペレーターをしていたので、一通り汎用工作機械は操作した事があります。(今は怖くて使えないと思います。笑)
ものづくりの基礎を学ぶために教育では、汎用工作機械が使用される事が大半ですし、実際の仕事でも、現役バリバリで40〜50年前の汎用工作機械が使われています。
本体価格では、昨今の物価高の影響やNC工作機械に比べて販売台数が少ない為、汎用工作機械の価格も非常に上がってきています。時代の流れですね。
それでは、また!
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