工作機械専門商社の仕事内容と存在意義【商社を通す意味は?】

工業高校卒業後、工場のマシンオペレーターとして7年程勤務。その後、工作機械専門商社の営業に転職し現在4年目。ユーザー目線で現場主義の営業を意識しています。

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工作機械の専門商社ってどんな仕事をするのかな?

メーカーから工作機械商社を経由する理由はあるのかな?

このような疑問に対して、現役の工作機械専門商社の営業マンである僕が、「工作機械の専門商社はどんな仕事をするのか」について解説します。

これから工作機械の商社で働きたい、専門商社へ興味があるという方に向けて参考になれば幸いです。

工作機械専門商社とは?

工作機械専門商社とは、旋盤・マシニングセンタ・フライス盤・研削盤・放電加工機などの工作機械を取り扱う商社のことです。製造業の企業(自動車・航空機・金属加工・精密機器メーカーなど)に対し、工作機械の販売や周辺機器の提案、アフターサポートを行います。

ただし、工作機械専門商社といっても、業態が大きく2つに分けられ、呼び方は様々ですが、販売店(商社)卸(商社)に分かれます。

販売店商社:エンドユーザーに直接販売する商社 (営業先はエンドユーザー)

卸商社:販売店商社に卸価格で販売する商社 (営業先は販売店商社)

販売店商社はエンドユーザーの工場に出向いて、直接、機械を操作するオペレーターや会社の決裁者と打ち合わせや商談を行います。

ほぼ毎日エンドユーザーの工場へ出向くので、上着は作業服を着用している営業マンも多く、仕事内容は結構泥臭い仕事が多いので、商社というイメージで入社した人はギャップを感じる人もいるかもしれません。僕が働いている会社は、こちらの販売店商社の方です。

一方、卸商社は基本的にはエンドユーザーとは関わらず、販売店商社に向けた展示会やメーカーを集めた企画等、新しい情報を提供を行い、受注に繋げます。

販売店商社に比べるとスーツを着用して仕事をする営業マンがほとんどです。いわゆる「商社っぽい」のは卸商社の印象です。

どちらの商社も、新品の工作機械も中古の工作機械も扱いますし、工作機械についての知識は幅広く必要です。

工作機械専門商社の仕事内容 5選

それでは工作機械専門商社の仕事内容を大きく5つに分けてご紹介します。

1. 工作機械の販売・提案

旋盤・マシニングセンタ・フライス盤・研削盤などの工作機械を、ユーザーの企業に提案・販売。顧客の生産ニーズに応じた最適な機械を選定し、メーカーと調整する仕事です。

工作機械専門商社といえ、工作機械のみではなく、周辺機器として、工具、バイス、CAD/CAMソフト等、工作機械の導入に必要な関係する商品をセットで提案します。

ユーザーのニーズからメーカー選定を行い、メーカーと同行の上、対象ワークなどの情報から機種選定を行い、仕様を決めた後に見積を提示します。

2. 生産ラインのコンサルティング

工作機械単体の提案だけではなく、ロボットやAMR・AGVなどを活用した自動化や省人化の提案を行い、製造工程全体の最適化をサポートします。工場全体の設備を考えたレイアウト変更依頼も請ける事もあります。

ユーザーによっては、工作機械の標準機だけではなく、特定の加工物だけを生産する専用機も提案します。

3. 納品・設置サポート

工作機械は大型で精密なため、設置・試運転・調整が重要であり、メーカーと連携し、スケジュール調整を行い、現場での据え付け作業や操作指導をスムーズに実施できるようにします。

事前の設置場所・搬入経路の下見や、必要に応じた設備レイアウト変更や設備廃却、まだ使える設備は中古機査定など、納品設置で必要な事はサポートします。

4. アフターサービス・メンテナンス対応

工作機械は長期間使用するため、定期メンテナンスや故障対応が必要です。

日々の消耗品、部品交換の手配、突発的な修理対応、オーバーホール(機械の大規模修理)なども行います。

修理対応でメーカーを呼ぶと費用が発生するため、まずは商社の営業マンが呼ばれて、現地を見に行き、メーカーへ現況を伝える事もあります。

5. 最新技術・市場情報の提供

最新の工作機械や生産技術に関する情報を顧客に提供する事も大事な仕事です。

国内外の工作機械メーカーの動向や、新製品の展示会(JIMTOFなど)の情報を伝えます。

工作機械専門商社の存在意義は?

近年、工作機械専門商社だけではありませんが、商社不要論というものも聞きます。

メーカーから直接買えばいいんじゃないの?と思う方もいますが、工作機械専門商社が必要な理由は何でしょうか。

工作機械専門商社は、マージンを取るだけの横流しではなく、メーカーにとってもエンドユーザーにとっても重要な役割を担っています。以下の5つの観点から、その存在意義を説明します。

1.金銭的リスクを代わりに担う

メーカー、ユーザーの代わりに金銭的リスクを代わりに担うことも工作機械商社の役割の1つと言えます。

メーカーは、工作機械の製作には3ヶ月〜1年程の納期をかけて制作します。購入部品により先に出費が発生している為、出来る限り早い入金が求められます。

条件が揃えば、商社がメーカーへ先に支払うケースもあります。

ユーザーとしては、納入した工作機械がトラブルなく稼働することを見届けてから支払いたいと思い、1ヶ月支払いを延ばすケースもあります。(※事前の検収条件・支払条件により)

また、新規取引先の場合、ちゃんとお金が支払われるか?倒産しないか?等、与信の問題で、メーカーから商社を通してほしいと求められるケースも多くあります。

2.メーカーとユーザーの橋渡し

工作機械メーカーは自社製品に特化しているため、顧客の多様な製品カテゴリのニーズに単独で対応するのが難しいですが、商社は複数メーカーの機械や周辺機器を組み合わせ、最適なソリューションを提案する事ができます。

単なる機械の販売だけでなく、生産ライン全体の最適化を提案し、ロボット、自動搬送装置、測定機器、CAD/CAMなどを組み合わせ、工場の自動化や生産効率向上を支援するためにあります。

3.設置・メンテナンス・アフターサポート

工作機械は高価で精密な設備のため、据え付けや調整、試運転が不可欠ですので、搬入設置の下見や、導入後も定期メンテナンスや故障対応を行い、長期間の安定稼働を支援する必要があります。

エンドユーザーとしても、自社の工場内や他の設備の状況を理解してくれている営業マンの方が話がしやすい事も多く、納入後も長い付き合いになります。

4.コスト削減・調達の効率化

エンドユーザーが個別にメーカーと交渉するより、工作機械商社を通じたほうが価格交渉や納期調整がスムーズに行えます。

また、1社で複数メーカーの製品をまとめて発注できるため、調達の手間やコスト削減が可能になります。

5.最新技術・市場動向の提供

工作機械商社は国内外の最新の工作機械技術や市場動向を把握し、ユーザーに情報提供することも重量な仕事です。

展示会(JIMTOFなど)やメーカー勉強会、技術セミナーを通じて、最新の製造トレンドをいち早く紹介すると重宝されます。

よくお客さんに、「ずっと工場内に居ると他の会社や業界の動きが分かりづらいから、なにか新しい情報があれば教えてほしい。」と言われることがあります。

工作機械商社で働いていると、複数のメーカーとも話す機会も多く、複数のユーザーに足を運びます。

自分が当たり前と思っていた情報が、お客さんにとってはタメになる情報というケースも多いです。

まとめ

メーカーとユーザーをつなぎ、最適な生産環境を構築する機械商社は、単なる販売業者ではなく、技術コンサルタントとしての役割も果たします。工作機械の導入から保守・運用支援までを総合的にサポートし、製造業の発展に貢献することが大きな存在意義です。

自分が工作機械専門商社で働いている以上、何かしら存在意義を見出すしかありませんが(笑)、メーカーにとってもユーザーにとっても、困った時に必要とされる存在であり続けたいと思います。

それでは、また!

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