工作機械におけるロータリーテーブルとは? 【生産性爆上げアイテムの魅力】

工業高校卒業後、工場のマシンオペレーターとして7年程勤務。その後、工作機械専門商社の営業に転職し現在4年目。ユーザー目線で現場主義の営業を意識しています。

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工作機械のロータリーテーブルって何だろう?「インデックス」とか「割り出し」も聞く言葉だけど、違いや役割を知りたいな。

このような疑問に対し、工作機械オペレーター歴7年、現役の工作機械商社の営業マンである僕が詳しく解説します!

工作機械のロータリーテーブルの役割と、あわせて「インデックス」や「割り出し」「位置決め」についても理解しておきましょう!

ロータリーテーブルに関しては後付け可能なタイプが多いので、5軸加工機は高くて買えないけど、既存の3軸マシンングセンタに後付けするならコスト的にも導入しやすいというユーザーも多いです。

稼働率の低い機械の活用や、工程集約が出来る為、生産性向上に優れたアイテムになります!

ロータリーテーブルの概要

ロータリーテーブルは、工作機械においてワーク(加工対象)を高精度に回転させる装置です。主にマシニングセンタやフライス盤に取り付けられ、多面加工・曲面加工・高精度な角度調整が求められる加工で使用されます。

円テーブル、回転テーブル、旋回テーブルと呼ばれる事もあります。

違い言葉で「インデックス」「割り出し」「位置決め」というワードを耳にしますが、それぞれの意味をおさえておきましょう。

「インデックス」「割り出し」「位置決め」それぞれの違いは?

「インデックス」「割り出し」「位置決め」は、工作機械の精密加工において重要な概念ですが、それぞれ異なる意味を持ちます。

インデックス

工作物や工具を一定の角度または等間隔で回転・移動させる動作のことを言います。

主に歯車加工や等間隔の穴あけ、フライス加工などに使用されます。

具体的な用途・例

・インデックステーブル(回転テーブル)を用いた 歯車の歯切り(ホブ盤、フライス盤)。

・分割盤(インデックスヘッド) を使用して、 等間隔の穴あけ。

特徴

• 「割り出し」の一種だが、特に等間隔の分割に重点が置かれる。

• 手動(インデックスプレートとクランプによるもの)と 自動(NC円テーブルなど)両方がある

割り出し

任意の角度に回転させて位置を決める動作をいいます。インデックスのような等間隔だけでなく、不等間隔も含む意味合いになります。

具体的な用途・例

• 5軸マシニングセンタ の回転軸(B軸、C軸)によるワークの向き変更。

• 割り出しテーブル(NC円テーブルなど)を使った 複雑な加工(例えば、インペラ加工)。

特徴

• 「インデックス」は 等間隔の割り出しを指すことが多いが、「割り出し」は等間隔・不等間隔どちらも含む。

• 精度を求められるため、高剛性・高精度の回転機構が使われる。

• CNC制御では 「位置決め割り出し」(動作後に静止する)と 「連続割り出し」(動作中に加工する)に分かれる。

位置決め

工作物や工具を特定の座標位置に正確に移動させる動作のことをいい、直線移動、回転移動の両方がありますが、通常は X, Y, Z軸の直線移動を指すことが多いです。

具体的な用途・例

• CNC工作機械の送り軸(X, Y, Z) による工具の移動。

• ロボットアーム や パレットチェンジャー の停止位置。

特徴

• インデックスや割り出しは回転方向の動作が多いが、位置決めは直線移動も含む。

• 位置決め精度(μm単位)が求められるため、ボールねじ、リニアスケール、リニアガイドなど高精度な機構を使用。

• CNCのGコード(G00、G01など) で制御される。

違いの比較

下記で「インデックス」「割り出し」「位置決め」について表にまとめます。

項目インデックス割り出し位置決め
動作等間隔の回転任意角度の回転直線・回転の移動
用途歯車加工、等分穴あけ5軸加工、複雑形状加工工作機械の軸移動
等間隔/不等間隔等間隔のみ等間隔・不等間隔両方座標指定の移動
制御方法分割盤、NC円テーブル割り出しテーブル、5軸制御CNC軸制御
主な機械フライス盤、ホブ盤、旋盤のC軸5軸MC、旋盤のC軸マシニングセンタ、ロボット

ロータリーテーブルの種類

ロータリーテーブルは、用途や構造によって以下のように分類されます。

①ロータリー式

ロータリー式は、テーブル内のウォームギアの噛み合わせによって回転させる形式と、平歯車を組み合わせて回転させる形式があります。

メリットとして、どちらも0.001°~0.0001°単位で、高い精度で任意の位置決めを行うことができます。

しかし、ロータリー式は加工中に回転運動が可能ですが、そこまで剛性が高くないので、大きな切削抵抗が発生する重切削には適していません。

また、デメリットとしては、ウォームギアや歯車で位置決めを行うため、回転速度をそこまで早くすることが出来ない点と、歯車特有の「バックラッシ」が回転精度に影響しやすい点があります。

②インデックス式

インデックス式は、「カービックカップリング」と呼ばれる上下に歯方がついた一対の円盤が、テーブルに内蔵されており、上下の歯が噛み合うことによって位置決めを行います。

位置決め角度のポイントは、カービックカップリングの上下の歯数です。

例えば、カービックカップリングの上下の歯数が360枚であれば1°ごと、180枚であれば2°ごと、といったように位置決めが可能です。

インデックス式の大きなメリットは、上下の歯は油圧動作でガッチリと噛み合うため非常に剛性は高いです。

上記のロータリー式と比べて、インデックス式は切削抵抗が大きい重切削に適しています。

一方、デメリットとしては、歯数によって回転角度が決められてしまうので、任意の回転角度で止めることはできず、回転しながらの切削という加工が出来ません。

③ダイレクトドライブ式

ダイレクトドライブ式は、前述したロータリー式やインデックス式と違って歯車を使用せず、テーブルがサーボモーターと直結されているのが特徴です。

ダイレクトドライブ式のメリットとしては、歯車を使用していない為、回転速度が速い事と、そもそも歯車の摩耗やバックラッシが無い為に、比較的高精度という事です。

一方、デメリットは、コストが高いです。特に回転トルクを大きくさせる為には、相応のモーターが必要になるので、コストも高くなりがちです。

ダイレクトドライブ式のモーターは、ダイレクトモータ(Direct Drive Motor)の頭文字を取ってDDモータと呼ばれることもあります。

以上のように、加工方法や加工精度、対象製品によって最適なロータリーテーブルを選ぶ必要があります。

ロータリーテーブルの用途とメリット

前述したようにロータリーテーブルを搭載することにより、多面加工の効率化付加軸加工、高精度な割り出し加工が可能になります。

多面加工の効率化

ワークを固定したまま角度を変えられるため、1回のセッティングで複数面の加工が可能になり、段取り時間を短縮できます。

例えば、マシニングセンターで加工してから旋盤で加工していたワークを、マシニングセンターにロータリーテーブルを載せる事で、旋削加工と多面加工を1つの機械で可能になります。

付加軸加工、高精度割り出し加工

3軸制御のマシニングセンターに、ロータリーテーブルを取り付け、B軸とC軸を追加する事で、円テーブル旋回と傾斜加工が可能になります。

円筒形状の加工や3D形状の加工に活用され、自動車部品、航空機部品、医療機器部品などの高精度な部品製作に活用されます。

また、高精度な割り出し加工も可能になりますので、ギアやタービンブレードのような等間隔の角度加工が求められる場合にも活用されます。

ロータリーテーブルの選定ポイント

導入する際は、以下のポイントを考慮する必要があります。

加工精度(割り出し精度・繰り返し精度)

加工内容(同時5軸制御が必要か?割り出し加工のみか?)

耐荷重(ワークの重量に対応できるか)

駆動方式(ロータリー式、インデックス式、ダイレクトドライブ式)

テーブルサイズ(ワークサイズに適合するか)

クランプ力(加工中の振動を抑えられるか)

選定するポイントは複数ありますが、ロータリーテーブルを取扱うメーカーも複数あるため、メーカー選定も必要になります。

メーカーの好みや、他製品も使っているからという理由も多いですが、各メーカーの比較もしておきたいところですね。

ロータリーテーブルのメーカー選定

ロータリーテーブルを取り扱っているメーカーは複数ありますが、いくつか紹介します。

北川鉄工所

比較的コンパクト設計。チャックメーカーならではの、高精度チャックとの組合せも可能。

津田駒工業

ツダコマオリジナルの次世代駆動機構『BallDrive®

高剛性、高精度に定評がある。

ユキワ精工

標準でオートエアパージを内蔵しているため、切削水に対しても抜群の防水性を誇る。

コレットチャックの専門メーカーとして、精密加工用のツーリングも合わせて提案可能。

日研工作所

日研製品に多数生かされているイオン窒化処理は、CNCロータリテーブルのウォームにも施され、耐摩耗性の向上やスベリ性能も向上。

ツーリング、リーマ、ツールプリセッターも合わせて提案可能。

まとめ

ロータリーテーブルは、多面加工の効率化付加軸加工、高精度な割り出し加工が可能になる装置です。

4軸・5軸加工が可能となり、生産性が飛躍的に向上します。

新規で複合加工機や5軸加工機の導入は、コストが高い為、約4,000万〜5,000万クラスのかなり思い切った設備投資ですが、ロータリーテーブルであれば、約100万〜数百万の投資で既存の設備に後付けが可能です。

ロータリーテーブルを選定の際は、対象ワークや加工内容をもとに、適切なメーカー・製品選定が必要です。

過不足が無いように各メーカーの製品スペックを比較し、生産性向上に優れたロータリーテーブルを導入していきましょう!

それでは、また!

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